京大数学 1997年度 文系第2問

整数

問題

自然数\( n \)の約数の個数を\( d \)とする。\( n \)の約数すべてを小さい順に並べて得られる数列を\( a_k (1 \leqq k \leqq d) \)とする。したがって, \( a_1 = 1 \), \( a_d = n \), \( a_k < a_{k+1} (1 \leqq k \leqq d) \)である。このとき, \( n \)に対する次の2つの条件(イ), (ロ)は互いに同値((イ)\( \Leftrightarrow \)(ロ))であることを示せ。

(イ) \( n \)は\( 60 \)の倍数である。
(ロ) \( n \)は\( 6 \)個以上の約数を持ち, \( \frac{1}{a_3} + \frac{1}{a_6} = \frac{1}{a_2} \)となる。

発想

同値であることの証明は, そのまま同値変形できないことがほとんどなので, (イ)\( \Rightarrow \)(ロ)と(ロ)\( \Rightarrow \)(イ)を別々に示す。少し考えると(イ)\( \Rightarrow \)(ロ)はほぼ自明なので, (ロ)\( \Rightarrow \)(イ)を頑張って示す。

下書き

(イ)\( \Rightarrow \)(ロ)

\( n \)が\( 60 \)の倍数のとき, \( n \)は\( 1,2,3,4,5,6 \)をすべて約数に持つので, \( a_1=1 \), \( a_2=2 \), \( a_3=3 \), \( a_4=4\), \( a_5=5 \), \( a_6=6 \)。
よって, \( \frac{1}{a_3} + \frac{1}{a_6} = \frac{1}{a_2} \)

(ロ)\( \Rightarrow \)(イ)

\( a_1=1 \)はどんなときにも明らか。だが, ここから進めるのが難しい。

(イ)\( \Rightarrow \)(ロ)のところでやったように, もし\( a_1=1 \), \( a_2=2 \), \( a_3=3 \), \( a_4=4\), \( a_5=5 \), \( a_6=6 \)だったら都合がよいのに, と考えながら, 背理法を思いついてほしい。つまり, \( a_2 \neq 2 \)だと仮定する。すると, \( 2 \)を約数に持たないので, \( a_2, a_3, a_6 \)はすべて奇数となり, 偶奇性が使える。

\( \frac{1}{a_3} + \frac{1}{a_6} = \frac{1}{a_2} \)を整理すると, \( a_2 a_6 + a_2 a_3 = a_3 a_6 \)。
ここで, \( a_2, a_3, a_6 \)がすべて奇数であれば, これは成り立たない。
(\( \because \) \( a_2 a_6 \)は奇数, \( a_2 a_3 \)は奇数より, 左辺の\( a_2 a_6 + a_2 a_3 \)は偶数となるが, 右辺の\( a_3 a_6 \)は奇数だから。)

よって, 背理法よりまず\( a_2 = 2 \)が言えた。

ここまでできれば, \( \frac{1}{a_3} + \frac{1}{a_6} = \frac{1}{2} \)を満たす整数\( a_3, a_6 \)を, \( 3 \leqq a_3 < a_6 \)の条件下で求めるだけ。
(整数の一次不定方程式と見なして, \( (a_3-2)(a_6-2) = 4 \)を解いてもよい。)

典型問題なので簡略に記すと, \( \frac{1}{2} < \frac{1}{a_3} + \frac{1}{a_3} = \frac{2}{a_3} \)より\( a_3 < 4 \)となり, \( 3 \leqq a_3 \)と合わせて\( a_3 = 3 \)と確定。よって\( a_6 = 6 \)も求まる。

ここまでで, \( a_1=1, a_2=2, a_3=3, a_6=6 \)が求まったが, \( a_3 < a_4 < a_5 < a_6 \)より当然\( a_4=4, a_5=5 \)となり, \( 1,2,3,4,5,6 \)を約数に持つので\( 60 \)の倍数, と結論付けるのは難しくないだろう。

振り返り

\( a_2 \neq 2 \)と仮定するところが最大のポイント。\( a_2 = 2 \)を確定するところまでできれば他は枝葉末節で, そこだけが差が付くポイントである。

背理法を使う問題は概して難問になりやすい。本問も, 本番ではできなくても仕方がないくらいの問題だが, しかるべき理由をもって, 背理法にたどり着く必然性を学んでほしい。

整数
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